漁港のある街・舞鶴
大禅ビル(福岡市 舞鶴 賃貸オフィス)のある舞鶴エリアは、福岡城跡、舞鶴公園、大濠公園といった多彩なスポットに富む場ですが、
実は「漁港のある街」でもあるんですね。
博多漁港。
大禅ビルからも望めるこの漁港はかつて中世の「那の津」や「袖の湊」だった場所で、黒田藩が開港したのが始まりとされています。
明治時代に入ってそれを受け継ぐ形で民間資本による埋め立てが行われ、
昭和からは冷凍製氷施設などの導入が進み、漁業基地として重要な産地機能を果たしていきます。
博多漁港の特徴は旋網漁業・沿岸漁業の水揚げ漁港としての産地機能に加え、
背後に福岡県500万人規模の大消費地を抱えた消費地機能も兼ね備えている点です。
博多漁港は1960年に
「特定第3種漁港」
の指定を受けています。
日本漁港には漁港漁場整備法によって5つの種類に分けられます。
第1種漁港:利用範囲が地元の漁業を主とするもの。
第2種漁港:利用範囲が第1種より広く、第3種に属さないもの。
第3種漁港:利用範囲が全国的なもの。(つまり複数都道府県からの漁船の利用があること)
第4種漁港:離島や辺地にあって、漁業の開発または避難上必要とされるもの。
特定第3種漁港:第3種のうち、漁港振興上特に重要な漁港。
特定第3種漁港は、漁業拠点としての重要性が高く認められている漁港なのです。
しかも2019年時点で日本全国には2806の漁港があり、うち特定第3種漁港は13漁港しかありません。
博多漁港はその一つなんですね。
ちなみにほかの特定第3種漁港は以下の通りです。ふむふむ。
・八戸漁港・・・青森県八戸市
・気仙沼漁港・・宮城県気仙沼市
・石巻漁港・・・宮城県石巻市
・塩釜漁港・・・宮城県塩竃市
・銚子漁港・・・千葉県銚子市
・三崎漁港・・・神奈川県三浦市
・焼津漁港・・・静岡県焼津市
・境漁港・・・・鳥取県境港市
・浜田漁港・・・島根県浜田市
・下関漁港・・・山口県下関市
・長崎漁港・・・長崎県長崎市
・枕崎漁港・・・鹿児島県枕崎市
■長浜鮮魚市場
漁港とセットなのが「鮮魚市場」です。
福岡市中央卸売市場鮮魚市場、別名「長浜鮮魚市場」は面積12ヘクタール(福岡ドーム、1.7個分)の敷地の中に6つの卸売市場を擁しています。
沖合漁業や沿岸漁業の水揚げに加え、最も多く集まるのは九州各地からの陸路を通じて搬入される水産物。そして韓国や中国からの水産物。
2016年の取扱金額は約457億円、なんと全国第1位!
取扱量は約8万トン。サバ、ブリ、アジなどが取り扱われています。
平日であれば鮮魚市場のセリが見学できる見学者通路があります。セリは午前3時から4時くらいまでなので、早起きすればいけそうですね。
それと毎月第2土曜日は午前9時から正午まで
『長浜鮮魚市場 市民感謝デー』
として、卸市場の一部が一般開放されます。
市民向けのイベントも充実!本マグロの解体ショーやお魚さばき体験、魚料理教室、寿司握り体験など毎月開催され、家族連れで賑わいます。
■日本人と魚の意外なカンケイ
魚は日本人の国民食で、今や海外では日本料理の代表格でもあります。
古くから日本は魚を食してきたイメージを皆さん持たれているでしょう。
実は違います。
日本人が魚をたくさん食べるようになったのはついここ200年くらいのことなんですね。
明治の1912年まで日本の漁獲量は非常に少なく100万トンにも届いていません。
徐々に増えてきたのは20世紀に入ってきてからです。
そして戦争で一旦落ち込み、そして戦後急激に増えていったんですね。
また年間一人当たりの水産物の消費量も20世紀までは10キロ未満。
一方、今では年間約20キロの魚介類を日本人は食べています。
とすると、江戸時代は明治時代と同じか、それ以下だったと推測できそうです。
人口が今より少なかったため消費規模も限定的でしたし、魚を食べること自体も日常的ではありませんでした。
理由は技術です。
当時はまだまだエンジン付きの漁船や冷蔵・冷凍庫が登場する前でした。
遠くの沖合、ましてや遠洋まで出かけて漁を行うのはできなかったわけです。手漕ぎの船を使った沿岸漁業が殆どだったので、漁獲量もおのずと限られていました。
それに魚は生物ですから長期間保存ができません。腐ります。
一部は干物や節物に加工されますが、生魚のまま長時間保存するのは困難でした。
しかも運搬手段も人か馬だったので、運搬で痛みやすかったでしょう。
だから鮮魚の消費地はほぼ沿岸に限られていたんですね。
昔は魚なんて高級品中の高級品で、特に新鮮な刺身なんかはお殿様か豪商しか口にできなかった代物です。
今で言うとフォアグラとかキャビアのような立ち位置でしょうか。
貧しい百姓の中でせめてハレの日は魚を食べようと、玄米に鰹節をまいて、それで魚を食べたことにするといった話も残されています。
ただ、漁村の百姓たちとその近隣では新鮮な魚がたくさん食べられていたようです。まあ自分たちで毎日獲ってますからね。
■魚料理もその場で味わえます
さて、魚と言えば、魚料理。
特に冬。冬こそ魚の旨い季節なんです。
ブリ、ふぐ、カレイ、ヒラメ、真鯛、サワラ、スズキ・・・魚ではありませんがサザエにウニに牡蠣!
冬の魚の旨味・・・それは脂です。脂がのっている魚はいつだって最高なんですね。
ここ長浜市場では、ピチピチ新鮮な魚を存分味わうこともできますい。
個人的に特にオススメしたいのがこちら
「市場ずし 魚辰」
名店です。
長浜鮮魚市場会館内の1階にあるこの店は、港直送の魚がそのまま味わえる回転寿司店。
新鮮かつコスパ最強。地元だけでなく、国内外の観光客の方々にも人気です。お昼時には長蛇の列ができるほど。
是非一度来られてみてください。
長浜鮮魚市場会館にはほかにもいつくかお食事処があるほか、更に鮮魚市場ならではの鮮魚加工品が毎日特価で買えるお土産コーナーや、
日本の魚文化について楽しみながら学べる「漁っちんぐプラザ」があります。
ここでは鮮魚市場の仕組みや、日本で獲れる魚の特徴、魚の栄養や調理方法まで、魚に関する情報がわかりやすく紹介されています。
そして最上階の展望プラザでは天神の街や博多湾を眺望できる360度のパノラマビューが広がります。
絶景なり。
市場の近くでは漁師飯として始まり、今や福岡を代表するラーメン・長浜ラーメンも軒を構えています。
博多漁港周辺は、通にはたまらない福岡の魅力溢れるゾーンなんです。
それともう一箇所。
長浜市場から少々歩いたところに
「福岡県水産会館」
という福岡県漁業協同組合連合会(福岡県漁連)のビルがあります。
この会館の1階にあるのが、海の幸の直営店「博多漁師処」。
玄界灘の魚介類を中心とした加工品、汐わかめ、いりこ、明太子、いわし明太、更にイカしゅうまいなどなど。さらにオリジナル商品も販売しています。
こちらもイチオシです!
魚の消費量は年々減って来ています。
人口減少や食生活の変化といった原因もあるでしょうが、これほど美味しくて、お腹を満たしてくれる健康食材はほかにありません。
なんせ魚は和食の華ですから。食べる人がもっと増えればいいなと思います。
漁港のある街・舞鶴。
海と魚と美味の魅力が溢れるスポットなのでぜひおいでください!