―金龍食堂―
街の記憶、一皿の思い出。
どことなく人気はまばら、なんとなしに昭和の風貌を留めている那の津に、最近ちょくちょくと小奇麗なビルが建ち並ぶようになった気がします。
優等生風なまちづくりも悪くはない。けれど味わいを味わえるところが少なくなってゆくのは、いつの時代も寂しいものではないでしょうか。
キラキラした時代の新しき波に那の津エリアもゆっくりと覆われてゆく中、時の流れなぞ我関せず、古き良き味わいそのものの証明であるかのような飯屋さんがここ、金龍食堂です。
大禅ビル(賃貸オフィス:福岡市中央区舞鶴)から歩いて数歩、創業数十年、多くの地元民の胃袋を満たしてきた味の故郷です。
突然ですがオムライスの話をさせて頂きます。
ここのオムライス、なんと700円なり!
端っこの玉子にフライパンの黒こげが馴染んでいる。
ケチャップ濃い目に、ちょっぴりベタつくご飯の組み合わせ。少しキツめの塩コショウ。
玉子の上の更に襲い掛かるケチャップ。更なる酸味。酸味のダブルパンチ。ご飯にとにかく混ぜていく。チャーハンも旨味調味をパキッと効かせるという、全方位的なおふくろの味でした。
ここはジブリの世界なのでしょうか。とにかくあらゆるディテールにザ・昭和が滲み出ています。
門構えもご覧の通り、シブい。ひたすらにシブい。常連さんと思しきおじさんが、昼下りにビールを傾けながら、ブラウン管のテレビを眺めている。店内は時が止まっているかのよう。
この心地よい安心感、シャレオツなお店では味わえない。年季のなせる技でしょう。
こういう天然記念物のような食堂も、店主が歳で跡継ぎもいないから、どんどん姿を消していくだろうなぁ
何だか寂しい気分になりました。。。
それと共に感謝の気持ちでいっぱいです!
時空のタイムスリップ。貴重な時間を過ごせて胃袋と心が満たされました。