食のシチュエーション
気のおけない友人とバカ笑いして楽しむ飲み会を「遊び」だとすれば、
独りで黙々と杯を傾けるひとり飯は「学び」と言えるかもしれません。
仕事柄、おもてなしのための飲みがほとんどの私でも、ごくたまに一人で外食することはあります。
外回りの最中の昼どきや、奇跡的に夜の予定がない時など。
頑張った自分にご褒美、今日はちょっと贅沢しちゃおう!
・・・なんていうOL女子的な発想は全くなく、ひとり飯の時はたいてい行き慣れた定食屋か、お店の大将と他愛のない世間話を交わせるような居酒屋と相場が決まっています。
自分と食し、自分と飲み、
来し方を振り返り、行く末に思いを馳せる。
ひとり飯において男が到達すべき理想の境地は、こんなところでしょうか。
ただ、誰かと一緒に食卓を囲むのが日常である私にとって、折角ひとりの時間でもどうしても持て余し気味になってしまう。
思いに耽ようと思っても結局携帯をいじ始め、果てはメールをチェックし出す。
孤独をあまり楽しめない損なタチなのです。
だからひとりで食べる食事は腹を満たす以上の域を出ず、たいていの場合パパっと済ませてしまうことが多い。風情は、まあ、ないですね。
だから、というわけでもありませんが、食そのものの旨さには人一倍こだわるような気がします。
哲学チックに頭をひねらせるより、純粋に一食いしん坊として食自体が与えてくれる美味を体感することの方が、私には大事であり、得意です。
上品なスイーツセット
彩り豊かなイクラ丼
オーガニックな野菜ランチ
などなど。いずれも美味。
そして
「このお店をあの人に紹介したら喜んでくれそう」
「あの飲み会をここでやったらみんな満足してくれそう」
「これをあの人に食べさせて美味しいって言わせたい」
ひとり飯から創っていけそうな繋がりをあれやこれやと想像するのが、とても楽しいのです。
あの人やこの人と、食を介して新しい繋がりができたり、美味しかったなあ、楽しかったなあという体験を共有できたり。
そうしたきっかけを掴む時間だと思えば、暇が支配するひとり飯も、案外意義ある時間だなと思えて、楽しめるようになりました。
以上、大禅ビル(福岡市 赤坂 貸し会議室)よりお送り致しました。