島根県―足立美術館
大禅ビル(福岡市 大名 貸事務所)として福岡市ビルディング協会の研修旅行に参加し、島根県に行って参りました!
ついに来てしまいました・・・「足立美術館」
ここの目玉は、横山大観はじめ大家たちの膨大なコレクションもさることながら、日本的な美の粋が結晶したこの日本庭園は外せないでしょう。
美しすぎて、息もできません。
本物の美を前にすると人は沈黙してしまうんだなと、身を持って知りました。
今まで私もいろんな日本庭園をみてきましたが、ここは別格ですね。
手前の庭砂から、遠くに連ねる山の峰まで、視界に入る一木一草の隅々まで美が妥協なく徹底されているように感じました。
広さは延べ5万坪、「枯山水庭」「白砂青松庭」「苔庭」など、趣向ごとに6つの庭園に分かれ、季節によって違う表情を見せるとのこと。
空間だけでなく時間軸も含んだ美の作り込みが、この膨大な空間に亘ってなされている、ということでしょうか。
この足立美術館は、1970年に、島根出身の実業家・足立全康によって創設されました。
農家出身の全康は貧しく、14歳から石炭売りの商いを手掛けます。
戦後は関西で繊維業や不動産業を商いながら、横山大観の作品をきっかけに美術品の蒐集熱が刺激され、名作と謳われる日本画、陶芸、木彫、漆芸など1500点を集めます。
晩年は故郷への恩返しの一念で、齢71歳にして私費を投じて美術館を立ち上げます。
なんというバイタリティ。
そして「日本画だけだと敷居が高くて人が来づらいから、日本庭園もつくろう」
と考え、心血を注いでできたのが、この日本庭園です。
庭園を囲む山が荒らされ、建物が建って風景が損なわれないよう、山も全て買い取るという徹底ぶりです。
ちょっとお金持ちで、多少アートに興味がある人ではできない行動ですよね。
この生きた絵画のような風景の底には、美を求める純粋で強烈なエネルギーが振動しているように感じました。
その意味で、足立氏は実際に絵を描いたり、日本庭園を組んだりする表現者ではないかもしれませんが、
美に形を与え、万人に開放した正真正銘のアーティストだと言えそうです。
心に迫ってくる、圧倒的な本物でした。