「化粧」をめぐる出会い
■化粧アニキとの再会
先日、お世話になっている化粧品メーカーの社長様が来福しました。
お世話になっている、というと私が社長様がつくられた化粧品の愛用者のように聞こえますが(笑)
さにあらず、2つの意味でとてもお世話になっている方です。
一つは妻が社長様の化粧品の愛用者であること。
もう一つはかつて私が関わったエストニア・プロジェクトのメンバーであり、予想の斜め上の炎上が日々勃発するような状況の中、
打開に向けて多くのアドバイスを頂き、私の心の防波堤となってくれたアニキのような方です。
ピンチな状況で発せられる
「痺れるねぇ~」
という口癖は私にとって癒やしとなり、なんとかなるかも?とちょっとだけ気持ちが軽くなったものでした。
関西出身じゃないのに気質は関西のツッコミ芸人そのもの、愛あるイジりの集中砲火をいつも浴びてしまう私であります。
今回もうちに来られる予定にはなかったのに、突然、本当に突然に大禅ビル(福岡市 舞鶴 賃貸オフィス)にふらっとやってきては私に連絡してきて
「5秒のうちに出ないと落書きしちゃうよ」
なんてメッセージを連打してくる始末。
そんな愛すべき方ですが、本業の化粧品の方はまさにいま鰻登り。知る人ぞ知るブランドを展開しています。
某有名雑貨チェーン店では全国の店舗のほぼ8割で販売しており、ベストコスメにも選ばれています。
最近は中国マーケットにもアプローチをかけているとか。
今回の来福も商談のためで、私の知り合いでとある美容師団体の運営に携わっている方と引き合わさせて頂きました。
その方も間接的にエストニアのプロジェクトを通じてご縁のあった方です。
Win-Winの形で進めていけたら嬉しいですね。
そして有り難いことに、年明けの新商品発表会にも妻とともにご招待頂きました。
表参道での行われるとのことで、果たしてどんな華やかなイベントになるのやら・・・初めての体験、緊張します。
■人はなぜ化粧するのか?
化粧品って一般的にイメージされるのは、口紅とかアイシャドウとか、見た目を直接美しくするものばかりですが、それらは「メイクアップ化粧品」と呼ぶそうで、
一方、化粧水や乳液といった、長期的に使うことでスキンケアやアンチエイジングに利く化粧品は「基礎化粧品」と呼ぶそうです。
ビルで言えばメークアップは外観の塗装やPRで、基礎化粧は設備などのメンテナンスや経営体制の改善といったところでしょうか。
それから時と場合によっていろんな目的で行う化粧があります。
例えばタトゥーや傷跡、火傷跡を隠すための化粧もありますよね。
エチケットのためだったり、本人の自信をつくるためだったり。
それから亡くなった人に施す死化粧。残された者に故人とのせめてもの美しい別れを提供する大切な仕事です。
演劇やアートパフォーマンスのための化粧もあります。
歌舞伎や舞妓さんの白粉などもそうですね。
最近だと映画の『ジョーカー』でしょうか。彼は化粧によって人間から道化に生まれ変わったんですね。
■化粧の歴史は9万年
調べてみると、人類の化粧の歴史は実に9万年にもわたるのだそう。
今まで確認されている人類最古の化粧品は、約9万2000年前にイスラエル地方で活動していた人類が肌に塗っていたオーカーという名の黄土を加工した赤色の土性顔料です。
つまり人類が初めて身にまとった化粧は「赤」だったわけですね。
今もアフリカのナミビアに住むヒンバ族の女性は、オーカーを砕いてできたパウダーと牛乳由来の脂肪を練り混ぜた自作のクリームを体と髪に塗って生活しています。
赤を纏うことが美のアイデンティティに繋がっているようです。
しかもこの化粧品にはUV対策や虫よけの効果もあるとか。なかなかのオールマイティー化粧品なわけです。
思うに古代ですから、こうした化粧の目的には機能性と美のアピールのほかに、宗教的儀礼や社会的ステータスの表現、同族であることの証明もあったろうと思われます。
というよりこちらのほうがメインだったのではないでしょうか。
有名どこで言えば古代エジプト発祥と言われるアイラインとアイシャドウですね。
ツタンカーメンのマスクを見ても分かるように、くっきり縁取られたアイラインが特徴的ですし、
当時の絵画や彫刻からは目の周りにアイシャドウを塗ったものが残っています。
男女問わずアイラインやアイシャドウを引いていたのは、ハエによる目の病気の防止効果があると信じられていたのに加え、「魔除け」という呪術的な目的もありました。
アイラインとアイシャドウの主な原料はマラカイトなどの鉱物です。
貴重な材料だったのでこうした化粧は王族、貴族階層でのみ流通していました。
つまり化粧は社会的身分と密接に結びついていたわけです。
今日まで残る化粧手法のメインの一つであるアイラインとアイシャドウ。
有ると無いのとでは目元のパッチリな印象が全然違いますよね。魅惑的な美しさ、とでもいいましょうか。
男の心を撃ち抜くような目元の演出を最大限生かしたのは。
世界四大美女の一角、かのクレオパトラだったのでしょう。
実際アイシャドウを最初に使ったのはクレオパトラという説もあるくらいです。
人の心を掴む。その意味で美は宗教に通じるのかもしれませんね。
このほかに古代エジプトでは赤、黄、黒などのボディーペイントが儀式で使われていたそうです。
今でも南米やアフリカの先住民の中には、特別なお祭りや儀式、あるいは部族間の抗争がある時に、顔のみならず体中に化粧するところもありますね。
■美人薄命の由来
古代からは既にヨーロッパでファンデーションや口紅といった化粧品が使われ、化粧もやがて女性の専売特許となり、美白が美の価値の一つとなっていきました。
ただ、白粉の多くは鉛、水銀、ヒ素などの毒性物質を含んでいたんですね。
ナトリウムの毒性を仮に1とすると、鉛の毒性は1000、水銀は100万程度と言われています。
長期間使用すると肌が蝕まれ、黄色や緑色のくすみを作っていき、そのくすみを隠すためにさらに大量の白粉を塗りつける悪循環。
だから昔は、命を賭けなければ美を手に入れられないものだったのです。
美のために早死にした女性もさぞ多かったことでしょう。
「美人薄命」という言葉を生んだのも、案外化粧からだったのでは?と思いますね。
ちなみに今日使われている白粉は鉛を含んでいない安全なものだそうです。
■男性諸君も化粧せよ!
ここの数年で男性向け化粧品もかなり増えた印象です。
ドラッグストアでは男性化粧品コーナーができていますし、街の広告でもしばしば目にします。
男のスキンケアや髭、毛穴、匂い、更には眉(!)の手入れなど、今まで女性のものとされてきたメイクが若い世代の男性にも広がっている印象です。
数千年の時を経て、化粧は再び男女が共に分かち合う美の手段となりつつあるのが面白いですね。
逆に言えば、男にも美を求めるプレッシャーにも感じるわけですが・・・
男はみんな、ジャニーズみたいな眉目秀麗な美男子にならないといけないのでしょうか。
感じの良い清潔感であればそれで許してくれよと、昭和の男である私は思う次第です。