帝国データバンク様ご来社!―大禅ビル流「仕掛け」の作り方―

大禅ビル(福岡市 舞鶴 賃貸オフィス)から歩いて5分のところにある株式会社帝国データバンク様。

 

当社とも長くお付き合い頂いており、様々な場面でご相談にも乗って頂きました。

 

この度、情報部の三好様、晨様がご来社され、大禅ビルの営業や新しい取り組みについてご取材頂きました。

 
禅院_取材
 

■事業の基本はまず自助努力

晨様:

大禅ビル様は他の貸しビル会社とは一味違った営業をされているとお聞きしました。具体的にどのようなやり方をされていますか?

 

禅院: 

当社は貸しビル業ですので、テナント様を募集し、お部屋を貸し出すことで収益を得ております。

 

こうしたビルオーナーは営業から管理までを丸ごと不動産会社に一任されるのが一般的です。

 

不動産会社に「じゃあ契約を決めて来てください」と投げるのは簡単です。

 

ただ、私としてはもっと自分たちの手で、他と違った打ち出し方を試してみたい気持ちがありました。

 

また、自力で生きていけるだけのノウハウも会社として身に付けたかったので、不動産会社にお願いする一方、

 

営業や広報の企画から実行までを自分たちでやり始めたのが、変化のきっかけでしたね。

 

私自身がもともと、営業企画やネット関連の仕事に携わっていたものですから、

 

ビルオーナーが自ら現場を駆けずり回るのって違和感はなかったです。

 

晨様: 

なるほど。営業活動の中で特にこだわった点はありますか?

 

禅院: 

「お客様にとってのいいものを、尖った形で出す」です。

 

尖った形って何なのか?それはお客様に刺さるのか?もちろん最初から分かっていたわけではなく、

 

暗中模索しながら色んなやり方を試して参りました。小さな失敗も沢山繰り返しながら。

 

そこで得た答えの一つが、納得のいくサービスを臨機応変に提供するための自社管理でした。

 

また、お客様に対するアプローチにしても、サイトのランディングページ構築やGoogleアドワーズ、

 

フェイスブック広告など、ITのインフラをふんだんに活用しています。

 

長期視点のブランディングとしては、例えば内装工事やクレイアニメCM制作の様子、少年科学文化会館のような、

 

今は無き地元を代表する建物を「舞鶴の記憶」としてブログで発信しています。

 

舞鶴自体のブランディングは、当社と当社にご入居されているテナント様にも繋がりますからね。

 

もちろんこれらは全て自分たちの手でやっています。

 

晨様: 

本当に色々されていますよね。どのくらいのペースで発信されていますか?

 

禅院: 

月に12記事、339記事(2019年10月12日時点)が公開されています。

 

晨様: 

凄いボリュームですね。

 

■営業はリアルとオンラインの両輪

晨様: 

新しく始められた内覧キャンペーンについてお伺いできれば存じます。

 

禅院: 

大禅ビルの空室は、今のところ一部屋(取材時)だけですが、2019年は一気に3部屋も空く予定です。赤坂近辺で工事が増えている関係でしょう。

 

ただ、いずれも2-3年程度の現場事務所用の短期賃貸なんです。そこで空く時期が事前にわかっているならば、

 

部屋が空いてから営業を始める従来のやり方から、部屋が空く前から動き始め、入居のご予約を頂いていくやり方に変えていこうと考えました。

 

だから、まずは当社へ内覧に来て頂く必要があります。過去の経験上、実際に内覧に来られたほぼ全ての方には入居を検討頂けましたから、

 

いかに大禅ビルの情報を潜在のお客様にリーチさせ、足を運んで頂くかが勝負になります。

 

キャンペーンでは内覧にお越し頂いたり、あるいは実際に成約されたりすれば、

 

ラーメン、掃除機、コーヒメーカー

 

といった景品が貰えるという大盤振る舞いな特典をご用意しております。

 

これら景品も単純な思いつきで決めたわけではなく、ノベルティのプロであります株式会社スペックス様との連携のもと、

 

商品選定から価格帯設定まで戦略立てて、特典のラインナップを設計しております。

 

晨様: 

豪華ですよね。反響いかがでしたか?

 

禅院: 

既に1部屋は入居のご予約を頂いております。内覧の問い合わせもちょこちょこ頂いております。

 

当社のキャンペーン活動がどのくらいお客様の内覧に結びついたかを数字ベースで記録し、分析を加えた上で翌月以降のアプローチに活かしています。

 

自前でネット戦略を作り込んでいる貸しビルは福岡ではまだ少数と思いますので、今のうちに仕掛けをしていけば面白いと思います。

 

晨様: 

営業に際して不動産会社様とは連携されますか?

 

禅院: 

はい。自社は自社でできる挑戦をしつつ、不動産会社様にもキャンペーンのチラシを配布し、知り合いのお取引先に声かけをお願いしております。

 

不動産会社様とはフェイス・トゥ・フェイスのお付き合いを大事にしております。

 

いつも顔を出していれば、不動産会社様も物件のご相談を受けた時に、大禅ビルさんに声かけてみようとかと、思い出して頂けます。

 

■利益の還元と循環

晨様: 

事業を進められる上で、利益の還元と循環の考え方を大切にされていると伺いました。

 

禅院: 

大禅ビルは築45年(2018年取材時)の貸しビルで、古いと言われればそれまでですが、逆に言えば45年間も途切れなくテナント様から信頼を頂いてきたブランドでもあります。

 

年数をブランドに転化させる努力をかなり意識的に取り組んで参りました。

 

晨様: 

具体的にどういった面で取り組まれましたか?

 

禅院: 

例えば賃料設定です。既にご入居されているテナント様の賃料は上げませんが、

 

新規のお客様には基本的に前の部屋賃料よりも高い賃料でご相談させて頂いております。

 

年数を重ねていく、新しいお客様がまた借りに来られる。これはつまりは大禅ビルの価値が市場から認められている証拠と言えます。

 

であればこの価値を適正に評価して、価格への反映とともに、積極的なブランド価値向上に繋げていくべきだと考えました。

 

晨様: 

なるほど。ただ漫然と貸出して、家賃を貰うという流れ作業ではなく、ブランディングへの意志が必要だと。

 

禅院: 

そうですね。もちろん事業体ですから、儲けは大事です。

 

しかし儲けをお客様に還元し循環させなければ、一時の儲けだけで終わってしまいます。持続はしません。

 

不動産はご存知の通り、生き物です。

 

使えば使うほど、年数が経てば経つほど機能が下落していきます。

 

長持ちさせるには継続的なメンテナンスが不可欠なのです。

 

当社では家賃の上昇分はビル自体の設備投資に回し、付加価値という形でお客様に還元しております。

 

儲けを再投資に回し、機能とブランドを向上させてから、お客様に還元していく。

 

そして新しいお客様にも来て頂く。この利益循環の環が、お客様と大禅ビルの発展を永続させていくエンジンになります。

 
帝国データバンク取材
 

■仕掛けは「貸会議室」

晨様: 

2018年の今年から貸会議室事業も始められたそうですね。

 

禅院: 

はい。もともとイケアスタイルのショールームとして仕立てた502号室を、今年正式に貸会議室へシフトさせました。

 

一年間のテストマーケティングを経て、需要を確かめてからの判断でした。

 

晨様: 

こちらも自前で運営されているんですか?

 

禅院: 

いえいえ、運営は外部に委託しています。

 

いざ貸会議室を始めようとしたところ、特に集客やお客様対応にどうしてもリソースを割かねばなりません。

 

私は事業本丸の貸しオフィスの営業でかかりっきりでしたし、当社社員もご高齢の方が多く、ビルの日常業務とは別に、

 

ネット集客といった貸会議室業務を一から始めるのは難しかったです。

 

さてどうしたものかと思っていましたが、ちょうどパートナーの不動産会社様から株式会社クルトン様をご紹介頂きました。

 

今は当社の貸会議室の運営代行をお願いしております。おかげさまで予約は毎日のように入っていますよ。

 

晨様: 

それは素晴らしいですね。

 

禅院: 

はい。クルトン様はシェアリングエコノミーの分野で多くの先進的な取り組みをされています。

 

当社の貸会議室も大変よい条件で受けて頂いて、本当に助かりました。

 

同時に、外部に丸投げしたって当社にはノウハウが蓄積しませんから、自分たちでやれる部分は主体的にコミットしていっています。毎日の部屋チェックや掃除は当たり前として、

 

最近はリピーター創出に力を入れています。お客様の利用回数、目的、時間帯などの情報を細かく記録しています。

 

例えば何回か利用されたお客様に対しては

 

「いつもご利用ありがとうございます」

 

初めてのお客様には

 

「ご利用ありがとうございます。部屋の使い方をご説明させて頂きます」

 

といった風に、スタッフの対応の仕方も細かく変えています。データが溜まっていけばもっと戦略的な手を打てるようになれると思います。

 

それから利用客のレビューもチェックしています。

 

多くの方から「対応が素晴らしい」など、よい評価を頂いている一方、「延長コードが少ない」といったご指摘もあります。

 

そうした有り難いご意見に対しては今後の改善に活かしております。現場を作り上げるのは、結局自分たちなのだという意識ですね。

 

晨様: 

良いスタートが切れていますから、収益化もさぞ早いのではないでしょうか?

 

禅院: 

実はこの会議室の料金、平日1時間500円(消費税抜き)で貸し出しています。

 

晨様: 

え?500円ですか?

 
帝国データバンク取材
 

禅院: 

はい。ちなみに土曜は1時間1280円(消費税抜き)ですが、いずれにせよ安く設定しております。

 

晨様: 

それはまた破格ですね。なぜでしょうか?赤坂近辺は商業地区の割に、貸会議室が少ないので多少料金が高くても需要はあると思うのですが・・・。

 

禅院: 

その通りです。儲けようと思えば、それなりの集客はできるでしょう。

 

しかし当社の事業基盤は貸しオフィスです。あらゆる取り組みは全て本業との関係性の中で捉えるべきで、

 

この軸を守らなければ事業の焦点がブレて散漫に流れると考えました。

 

この貸会議室事業は大禅ビルの「広告装置」という位置付けです。内装が洒落ている、対応もいい、なのに安い!

 

沢山の方に大禅ビルに知り、来て、使って頂く仕掛けとしての貸会議室です。

 

まあ、目玉商品をノベルティで配布して話題性と知名度を作っているような感覚ですね。

 

舞鶴に大禅ビルという建物があるんだ、とか。外観はレトロだけど中はピカピカというギャップが面白いね、とか。

 

覚えて頂ければ本業の貸しオフィスにもプラスに働くと思います。

 

あと、これは私の個人的な感覚なのですが、人が沢山いる活気のあるビルにはよくお客様がつく傾向にありますね。

 

大禅ビルの賑わいづくりも目的の一つになります。

 

晨様: 

確かに。人気のいないビルって、なんとなく寄り難い雰囲気がありますよね。

 

禅院: 

そうですね。それから、貸会議室はご入居中のテナント様へのサービスでもあります。

 

テナント様も貸会議室の予約ができて、商談や応接などにお使い頂いています。

 

おっしゃる通り、天神は貸会議室が少ないので、貸会議室難民は大禅ビルに流れて来ているかもしれませんね。

 

安くしすぎたかもしれないと、時々後悔に襲われますが。(笑)

 

晨様: 

こうした形で貸会議室を運営している貸オフィスはまだ少ないのかもしれませんね。

 

禅院: 

だからこそ始めたのもあります。

 

普通のオフィスとして貸し出してもよかったのですが、もっと違う形で大禅ビルのメリットを出せないか?という課題意識がありました。
 

貸しビル業界も変化が激しくなっています。時代の先を読むのは難しくても、生きる術を足元から築くのはできますから。

 

晨様: 

大変勉強になりました。ぜひこれからも舞鶴を盛り上げて頂ければと存じます。本日は本当にありがとうございました。

 

禅院: 

ありがとうございました。今後ともどうぞ宜しくお願い致します。

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