建築史シリーズ 宗教建築の起源

弊社、大禅ビルが行っております貸しビル業は、本質的には空間に付加価値をつけていくプロデュース業だと考えています。

 

そのような仕事をさせて頂いている身ですから、建築やインテリア、ファッションといったデザイン全般にアンテナを張っており、

 

そこで得たヒントやインスピレーションを大禅ビルの空間づくりに活かすこともあります。

 

とは言え、私は専門的にデザイナーとしての教育を受けたことはありませんから、本職の方々と到底比べられません。

 

本物のデザイナーというのは、既存の概念を超越するような美を生み出すアーティストに近い存在と言ってよく、その足跡の後には全く新しい地平が拓けていくものだと思っています。

 

このシリーズではそうしたデザイナーたちが紡ぎ上げてきた建築の歴史を中心にご紹介していきます。

 

◯宗教から始まる建築

メソポタミアの時代になると、人格をもつ霊的存在として神像がつくられました。

 

そして祭礼のために、ジッグラトのような恒久的な祭犯施設がつくられたのです。

 

ここで、祈りのための建造物の登場となります。

 

古代エジプトになると、村々ごとに土地の守り神や、太陽神ラーや動物の姿をした神も多くありました。

 

ここで神々を記る神殿は屋根が架かり、方位や祈りのための軸線を重視した建築になりました。

 
エレクティオン
 

ギリシア神殿は神像を安置するためのもので、人は中に入らない前提です。

 

そのため外観が重視され、オーダーと比例による美の建築に進化します。

 

古代ローマの時代で注目すべきポイントは古代ギリシアの神々も信仰されていたことです。

 

古代ローマ神殿は、古代ギリシアの美を取り込みつつ、芸術として内部空間のある建築まで昇華させました。

 

キリスト教建築のベースとなったバシリカやドームもこの時代にできました。

 

世界三大宗教の元祖はユダヤ教でした。

 

祈りはシナゴーグで行い、また偶像崇拝禁止であるため、装飾やシンボルが多用されました。

 

3世紀以降に空前絶後の勢いで広がっていったのがキリスト教です。

 

イエス・キリストの死後、その弟子たちによってつくられたものになります。

 

イエスは「名前」、キリストは「救世主」という意味の称号で、ユダヤ教一神教の理解を引き継いでいます。

 

実は、キリスト教も偶像崇拝禁止でしたが、早い段階で破られました。

 

「あらゆる民族に教えを広めることが徳」とされているため、絵や像を使うのがもっとも効率的でした。

 

イスラム教の祈りの場はモスクです。

 

偶像崇拝禁止のため、植物・幾何学・文字がモチーフとして用いられています。

 

◯美の基準となったギリシャ建築

いまから約3000年前の時代を生きていた古代ギリシア人たちにとって、美しい建築こそ、時間と労力、知識を総動員して追求すべきものでした。

 

その中でもパルテノン神殿は、アテナイの守護神であるギリシア神話の女神アテナを祭るとても重要な施設だったのです。

 
パルテノン神殿
 

また、ギリシア神殿はもともと木造でつくられたと考えられており、パルテノン神殿は石造への変化を辿れる大変貴重な遺構です。

 

まず、ギリシア神殿で大切な建築手法の要素はなんといってもオーダーです。

 

これは、柱を主役とする「床から軒までのワンセット」をいいます。

 

ギリシアのオーダーには、ドリス式、コリント式、イオニア式の3種類があります。

 

パルテノン神殿の外周柱はドリス式となっています。

 

次に、オーダー(柱径)をもとにモドゥルスという「単位長」でつくられていること。

 

こうした比例関係で建物全体をつくっていくやり方を、シュンメトリアといいます。

 

部材の大きさをベースに「建物全体へ秩序を与えていくもの」です。

 

オーダー、モドゥルス、シュンメトリアからつくられたギリシア神殿建築の最高峰がパルテノン神殿でした。

 

すべて石造というわけではなく、屋根組みは木造で、天井にも木が用いられていました。

 

神殿自体は神像の安置所、つまり、建築は神のための器です。

 

儀式は神殿前庭の祭壇の周囲で執り行われていました。

 

ドリス式の柱を含め、素材はすべて白大理石。驚くべきは円柱の精度はなんと0.01ミリ以下だそうです。

 

パルテノン神殿は、円柱の直径と比、柱の高さと梁の高さの比が絶妙です。

 

円柱の配列にはわずかな誤差がありますが、完全すぎると建築が堅苦しく、冷たい印象を与えるためです。

 

長い水平部材は「本当に水平のとき、人間の目には中央部が下がって見える」ので、あえて中央部に膨らみをつけているのです。

 

比例からつくられたとはいえ、最終的には人の感覚で美しく見えるよう調整を行ったわけです。

 

ギリシア人たちはオーダーを生み出し、建築全体が美しく見えるようにしたのです。

 

すなわち、ギリシア神殿の本質とは、オーダー美学がつくりあげた調和と比例の究極点にほかならないのです。

 

一方で、石造の柱・梁架構はエジプト神殿から引き継がれたものでもありました。

 

◯オーダーの種類と性格

オーダーの種類は柱頭で判断します。

 

古代ギリシアのオーダーは次の3種類です。

 

ドリス式:機頭のような丸い部分の上に正方形の板が載ったシンプルな形。

 
パルテノン_ドーリア式
 

柱は太く、ずっしりと重厚感があり厳格な印象を与えます。

 

イオニア式:柱頭の両脇に渦が巻いています。

 
アテナイのエレクテイオン_イオニア式
 

ドリス式に比べるとほっそりして軽快です。

 

コリント式:アカンサスという葉をモチーフにした飾りが華やかに柱頭を彩る。

 
パンテオン_コリント
 

3つの中では一番細く、優美な趣をたたえています。

 

このように、オーダーには個々に性格があるのです。

 

そのため、どのオーダーを採用するかで建物が醸し出す雰囲気が大きく変わります。

 

◯シンメトリーの美しさ

さて、次にシュンメトリアです。

 

柱径を1モドゥルスとし、柱間もその値の倍数、または簡単な分数で構成するのが基本となります。

 

オーダーは各柱の直径によって各部の寸法が変わっていきます。

 

柱の芯で計画するか、柱間の距離で計画するかの違いですね。

 

また、建物規模が大きくなるにつれて、相対的に高さを抑え、バランスを整える手法もあります。

 

単純に「比例のみで建物を構築する」のではなく、部分と部分の微調整を繰り返し、調和させる技術と知恵が確立していたのです。

 

各部位を比例させ、全体を均衡させ、美を追求したのです。

 

しかも数値的な完全さより、人が「美しい」と思う感覚を最重視したのがギリシャ建築でした。

 

以上、大禅ビル(福岡市 舞鶴 賃貸オフィス)からでした。

 


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