四季のいろ保育園
― 子どもと、働くパパとママのために ―
2017年5月5日に「四季のいろ保育園」が開園を迎えました。
都市中心部である天神に隣接した商業地区・舞鶴において
「内閣府企業主導型保育園」
として始まった本園は、近年益々社会問題化しつつある待機児童の解消を目指し、働くパパママを応援する存在して各方面からの高い関心が寄せられています。
今回は保育園の立ち上げと運営に関わる二社の代表者様に事業の意義とこだわりについてお話を伺いました。
[出席者]
春野ヒデミチ(株式会社ラグジュアリー 代表取締役;保育園の事業主体)
権藤光枝(株式会社Branches 代表取締役;保育園の運営主体)
進行:禅院昭(大禅ビル 代表取締役;保育園の入居先)
働くパパママが利用しやすい保育園に
【禅院】
まず今回のプロジェクトの舵取り役を果たした春野さんに伺います。
商業ビルの一階を保育園とする斬新な試みについて、私どもとしても大きな期待を持ってその動向を見守ってまいりましたが、待望の開園を果たした今、どのようなお気持ちでしょうか?
【春野】
率直に言ってホッとしています、用途変更の手続きや寸法の計算、非常経路の確保など、手間と時間を要した部分は多々ありました。
しかし、深刻化する待機児童の問題に少しでも貢献できればと思い、手探り状態の中、一つ一つ課題をクリアして行きました。
内閣府による企業主導型保育園への支援制度が開始されたことも、大きな励みとなりましたね。
とはいえ、私どもができることはそのプラットフォーム作りまで。
そこから先にある、保育園の運営というについてはBranchesの権藤さんのお力を頼りました。
【権藤】
私共は現在、14カ所の保育園(2019年4月時点)を運営しておりますが、今回はオフィス街での開園というお話を聞き、その地域の特性に合わせた運営体系の構築が必要だと感じました。
そこでまず考え出したのが、朝7時から夜8時までという開園時間。
専門職など今まで特別なキャリアを重ねて来られた方の場合、通常の開園時間ではその仕事を継続して行くことが難しく、パートタイム労働など職種の変更を余儀なくされていました。
この問題を少しでも解消すべく、働くお母さんたちが気軽に利用して頂けるように、よりフレキシブルな受け入れ体制を整えることにしました。
【春野】
あと、保育料も抑えられていますね。
認可型の場合、保育料は収入に応じて算定されますが、こちらは一律の料金を決めています。
また、対象が0歳から就学前の年長までとなっていますので、小規模保育園を2歳で卒園した後の受け入れ先に困る、というようなこともありません。
定員定数は41名を想定しています。説明会は毎週のように行なっていますし、
「今月は無理だけど、来月から入園を希望したい」というようなお問い合わせも頻繁に頂いています。
【権藤】
実際の入園もまず、お子さんが環境の変化に馴染むことができるように十分な慣らし保育を行なった上で、通常保育へと移ります。
もちろん、事前の面談にもしっかり時間を取り、ご要望や疑問などにお応えしています。
【禅院】
少し話は逸れますが、現在運営中の14ヶ所の保育園(2019年4月時点)は、地域によって指導内容や特性を変えているのでしょうか?
【権藤】
もちろんです。
例えば、ある地域では親御さんが非常に教育熱心ということで、英語中心の生活としています。
園の門をくぐったら日本語は禁止で、ずっと英語。
外国人の先生もいますし、日本人の先生も英語しか話しません。
すると驚くことに、言葉として発するのは難しくても、何を話しているかということは、
どんなにスピードを早めても子供達はしっかり理解できるんです。
オトナはどうしても頭の中で変換しようとしますからね。
【禅院】
これからますます国際化が進む時代であるだけに、「四季のいろ保育園」でも英語の時間を積極的に取り入れても面白いかも知れませんね。
ところで、権藤さんが運営されている保育園では、いわゆる保育士さんの「子連れ出勤」が日常的に行なわれていると伺いましたが、いかがでしょうか。
【権藤】
全国的には珍しいようですが、私共の園ではかなり以前からこの形態を採って来ました。
例えば、祇園の保育園スタッフは半数以上が子連れでの出勤です。
これは私自身がシングルで、働きながら子供を育てる難しさを痛感した実体験に基づくものです。
この仕事を始める際には絶対に導入したかった取り組みでした。
子供達の気持ちに寄り添うことは当然ですが、働くお母さん方の気持ちにもしっかり寄り添った保育園作りを常々心掛けています。
この場所が小さい頃の心の故郷と思えるように
【権藤】
ビルのオーナーである禅院さんが園のことを真剣に考えて下さっているのは本当に嬉しかったです。
実は保育園って、場所によっては嫌われる業種なんですよね。
子ども達の声がうるさいとか、近隣とのトラブルを恐れて敬遠されることもあるんですよ。
【禅院】
それは悲しい話ですね。子どもは地域の宝なのですが・・・。
今回のお話は私にとっても嬉しいことでした。
入居テナント各位様にも保育園が開園することを事前にお知らせしたところ、非常に好意的な声を頂けました。
【春野】
私も同感ですね。医療介護の分野でも地域包括ケアという取り組みが進められています。
地域との連携無くして理想的な保育環境の熟成は難しいと思います。
保育園があるから人が集まる。お年寄りも笑顔になる。
街が発展して行く上で、人を結び合わせる子どもたちの存在はとても重要だと思います。
【権藤】
最近の子ども達は季節感を感じる機会が少なくなっているように思えます。
ですから、ここでは自園の調理士が提供する給食として旬の物を旬の時期に取り入れたり、
すぐ隣にある浜の町公園にお散歩に出掛けて、季節ごとの草花を見たり触れたりさせています。
園の名前の通り、日本人らしい四季へ感性も教えていきたい。
そして、卒園した後も小中学校と、舞鶴という地域で思い出を積み重ね、
ここが故郷だと言ってもらえるような「舞鶴っ子」がたくさん生まれる場所になればいいですね。
【禅院】
弊社も46年前も舞鶴で生まれ、ここで親子三代に亘りたくさんの方に育てて頂きました。
舞鶴は私にとっても大禅ビルにとっても故郷なのです。
春野社長と権藤社長とのご縁のお蔭で、貸しビルとしては今までにない形で地域の未来づくりに関わることができ、大変光栄ですし嬉しい気持ちです。
移入者が増えつつある舞鶴の地で、この「四季のいろ保育園」が家族たちの幸せに寄り添うような存在でありたいですね。今日はありがとうございました。