商社の役割ってなんだろう?

■輸出事業の立ち上げ

大禅ビル(福岡市 舞鶴 賃貸オフィス)の本業は貸しビル業ですが、それとは別に私個人でいくつかビジネスに関わっています。
 

そのうちの一つが貿易で、日本の商品を韓国に輸出すべく、目下会社設立準備と商流構築の真っ最中です。

 

このプロジェクトの中で実に多くのことを学ばせて頂いています。

 

特に商品をうちで取り扱って貰えるよう、商社と交渉する機会がありますが、お客様として設備や建材関連の卸業者と話をする機会があっても、

 

パートナーとして商社と関わることはあまりなかったため、とても新鮮で、刺激的です。

 

商流の構築までに越えるべきハードルがまだいくつも残っています。

 

それこそ

 

「そうは問屋が卸さない」

 

状況にもリアルに遭遇しているわけですが、ビジネスにおける商社の意義、役割について改めて考えてみるよいきっかけになりました。

 

■商社の歴史

グローバル
 

「商社」は近代になってからの呼称で、日本の歴史の中で商社機能を組織的に担っていたのは鎌倉時代に登場した「問屋(といや)」だと言われています。

 

それが室町時代の「問屋(とんや)」を経て、近代では商業の規模拡大と多様化の結果、小売業向けに商品を卸す業者を「卸」、

 

国内では調達が困難な商品の輸入を行う業者を「商社」と呼び分けるようになります。

 

明治時代の商法では問屋を「自己ノ名ヲ以テ他人ノ為メニ物品ノ販売又ハ買入ヲ為スヲ業トスル者」と定義しています。

 

「自己ノ名ヲ以テ」、つまりは「自分の信用を使って」売り買いするという意味です。

 

取引において、買う側と売る側はビジネスを共に創る「パートナー」であるのが理想ですが、

 

その段階に至るまで、価格や納期といった取引条件の協議・交渉が必要で、互いの利益確保のため対立の関係に立たされる場面も出てきます。

 

もちろんこれは良い取引を創るために必要なステップです。

 

そこで相手信用度、それと自分が許容できる信用度を見極めるわけですね。

 

さて、ここで言う「信用」とは、簡単に言ってしまえば

 

「約束通りに商品がちゃんと届く」

 

「約束通りにちゃんと代金が支払われる」

 

に尽きます。

 

つまり「債務履行」と「債権回収」ですね。

 

取引で問題になるのはほぼこの二つに関する事柄と言っていいでしょう。

 

この二つが上手く回っている時は取引も回り、それと共に信用も蓄積されていきますが、逆に上手く回らなければ取引の流れも悪くなり、信用にヒビが入ってしまう。

 

気持ちいい取引と、確実な利益を担保するために信用はとても大切な前提です。ただ、一朝一夕で得られる代物でもありません。

 

とは言え、それでもビジネスをやりたい。さてどうするか。

 

そこで信用を商品とする問屋が登場するわけです。

 

■取引の「信用」リスクを肩代わりする

問屋が誕生した理由の一つは、商品在庫と販売場所との距離の存在です。

 

商品在庫と販売場所が離れている場合、商品とお金の交換に「時差」が生じます。

 

メーカーの倉庫と買い手が距離的に離れているという意味です。

 

買い手がメーカーの倉庫まで来て現金決済してそのまま商品を運ん帰るのならともかく、そうでない場合は

 

「商品を届けるのが先か」

 

「代金を支払うのが先か」

 

が買い手と売り手双方の懸案事項となって取引全体にのしかかってきます。

 

売り手は当然卸した時点で代金を回収したいし、 販売者は売上が確定した時点で支払いを行いたい。

 

また、例えば1つや2つなど少量しか買わないお客様にメーカーがいちいち対応していたら、

 

代金回収や在庫管理、与信判断などの事務処理量が膨大に上り、コストアップの要因にも繋がりますし、

 

まとめた量を売りさばけないため在庫リスクの効率的な圧縮も難しくなってしまう。

 

一方買い手側にしてみれば、元々資金力があるところであれば別ですが、

 

メーカーが捌きたいロット数を最初から仕入れて在庫させられない創業したばかりの中小企業などは、商品を取り扱わせて貰えず、そもそも事業機会が得られないわけです。

 

無理して仕入れたとしても過剰在庫になる可能性が高く、それに大量な商品を保管する倉庫も必要になってきますので、継続的な事業運営のリスクとなります。

 

メーカーにとっては、もちろん大量に買ってくれるところが一番嬉しいわけですが、日本の企業は殆ど中小企業です。

 

取引先を大口だけに絞ってしまうとそもそも商品の市場普及の機会を自ら制限してしまうようなもので、ニーズを広く拾えません。

 

問屋と商社の役割は、そうした状況にメーカーと買い手の間に立ち入って、信用リスクの肩代わりによって、

 

取引を希望する業者に新規参入の機会を幅広く提供し、メーカー側の販売コスト上昇を抑えることです。

 

信用の仲介と取次を行って、川上と川下の間の川中の流れをスムーズにするビジネスのポンプとも言うべき存在ですね。

 
川
 

問屋と商社の商材は一見して形のある商品ですが、その事業が対象とするところは本質的には

 

「リスク」と「時差」

 

です。

 

アマゾンやメルカリといった、今をときめく電子商取引のプラットフォームも「買い切り」という意味で彼らは仕入れを行ってないものの、

 

債務履行と債権回収の代行を通じて信用を担保している意味において、インターネット時代の商社と言えるでしょう。

 

アマゾンは更に物流センターを構え、在庫管理と発送業務も代行してくれます。

 

■ビジネスの情報集積センター

それから、問屋と商社には事業創出の観点からもう一つ重要な機能があります。

 

それは

 

「コンサルティング」

 

です。

 

コンサルティングとはつまり「提案」、そして提案には「価値ある情報」が不可欠です。

 

川上と川下間の物流を担うポンプの役割を果たす問屋・商社は、一方では「情報の集積地」でもあります。

 

今関わっている案件で言いますと、輸入側の韓国の販売会社から日本側の商社に対して

 

「売れ筋ランキング」

 

といった情報を要求しているのがまさしくこれに当たり、

 

また今後事業が回るようになれば、逆に日本側の商社は韓国のマーケット動向をメーカーに提供するといった形もできていくでしょう。

 

売れ筋やマーケット情報が分かれば、より確度の高い生産計画や販売計画の組み立てが可能になるのです。

 

「何を作ったら売れるのか」

 

「何を扱えば売れるのか」

 

という問いに対応できる情報と知識、見通しも、問屋・商社の商品と言えますし、こうして見ると問屋・商社は

 

「事業育成」

 

の役割も果たしています。

 

■問屋と商社は必要か?

「商流を一元化して物流コストを削減する」の文脈において、問屋と商社はよく「元凶」としてその存在に疑義を呈されることが多い。

 

確かに、大して価値を果たしていないのに中抜きする中間業者やブローカーはいます。

 

こと古い慣習が残る業界はなおさらその傾向が強く、業界全体の発展を著しく阻害しています。

 

ただ、一様に問屋・商社不要と言うほど、ビジネスは単純ではないと思います。

 

ビジネスの本質は「外注(アウトソーシング)」です。

 

私たちがジュースを飲むのに、いちいち果物の木を育てるところからしないように、あらゆるビジネスは、

 

自分ができないことを、より低い労力、コスト、時間でできる他者に代行させる営みだと捉えられます。

 

人類文明の発展の規模とスピードは、こうした分業と外注の集積と言ってもよいです。

 

この前提に立って問屋・商社の役割を整理すると

 

① 情報提供・コンサルティング

 

② 在庫管理・調整

 

③ 物流

 

④ 金融業務

 

に分けられますが、生産事業に特化したメーカーや、販路やリソースが限られている中小企業や店舗は、これら業務を全て内製化するのは現実的ではありません。

 

だからこそ業務とリスクを分解し、外注を行って、製造なら製造、販売なら販売と、自社のメイン業務に集中しています。

 

問屋と商社の仕事とは、要するに顧客の

 

「分身」

 

となって、時には販路開拓、営業代行、信用調査、資金回収を代行し、顧客が目指す事業を実現するための

 

「経営資源の最適化支援」

 

です。

 

私たちがこれから設立する会社で行うビジネスも商社事業を想定していますので、ビジネス全体への貢献価値を意識しながら取り組んでいきたいと思います。

 
商社
 


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