デザイナーたちの物語 レム・コールハース

弊社、大禅ビルが行っております貸しビル業は、本質的には空間に付加価値をつけていくプロデュース業だと考えています。

 

そのような仕事をさせて頂いている身ですから、建築やインテリア、ファッションといったデザイン全般にアンテナを張っており、

 

そこで得たヒントやインスピレーションを大禅ビルの空間づくりに活かすこともあります。

 

とは言え、私は専門的にデザイナーとしての教育を受けたことはありませんから、本職の方々と到底比べられません。

 

本物のデザイナーというのは、既存の概念を超越するような美を生み出すアーティストに近い存在と言ってよく、その足跡の後には全く新しい地平が拓けていくものだと思っています。

 

◯理論と実践の両刀使い

今回ご紹介するのはレム・コールハース。

 
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オランダの建築家、建築理論家、都市学者で、脱構築主義の代表格として知られています。

 

2000年にプリツカー賞を受賞、2008年には「タイム」誌の「世界で最も影響力のある人物」トップ100に選出されています。

 

コールハースは、建築家の勉強をする以前にジャーナリスト・脚本家として活動した異色の経歴の持ち主です。

 

超高層ビルが建ち並ぶマンハッタンの都市原理を記した『錯乱のニューヨーク』を発表して以降、現在に至るまで、理論と実作の両側面から建築界をリードし続けています。

 

コールハースの設計事務所 OMAは、「プログラム」と呼ばれる建築の社会的機能や用途を満たしつつ、独創的な形や空間構成を生み出すことを特徴的な手法としています。

 

中国中央電視台本部ビルは、そんなOMA的手法が展開された代表作です。

 

社会主義国の国営テレビ局本部ビルという、考慮すべき条件や要求が複雑極まりないものに対し、

 

斜めになった2棟の高層ビルを頂部で連結するという斬新かつアイコニックなデザイン案で、国際競技で見事一等を勝ち得ました。

 

そのほかにも、コールハースが更新した建築のつくり方や考え方は多岐にわたります。

 

グローバル経済の進展によって世界中でつくられる無個性な都市を意味する「ジェネリックシティ(アイデンティティが希薄、あるいは欠落した都市のこと)」、

 

建築の美学を無効化する巨大さを意味する「ビッグネス(建築が一定のスケールを超えると、建築的操作や古典的手法や芸術の無効化、そして建物の内部と外部の剥離が起こる。

 

結果、建築は善悪を超えた領域へと突入し、建築は都市組織の一部ではなくなるという概念)」など、新概念も次々と生み出しました。

 

建築がつくられる前提条件から思考すべく、設計組織 (OMA) とは別に調査組織 (AMO)を並走させる活動スタイルも特徴的です。

 
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◯ジャーナリスト出身の現代建築家

コールハースは、1944年のオランダ、ロッテルダムで生まれました。

 

父親は小説家、評論家、脚本家として活躍しており、作品はアカデミー賞にもノミネートされています。

 

1963年、コールハースは19歳で『Haagse Post』誌のジャーナリストになった後、1968年にロンドンの私立建築学校AAスクールで勉強を始めます。

 

この間に『建築としてのベルリンの壁』『エクソダス、あるいは建築の自発的囚人たち』を発表します。

 

1972年にはニューヨーク州のコーネル大学に留学します。

 

コールハースは、1975年に建築家のエリア・ツェンヘリス、ゾーイ・ツェンヘリス、コールハースの妻であるマデロン・フリーセンドルフとともに、

 

OMA(The Office for Metropolitan Architecture)を設立し、世間や批評家の注目を集めるようになりました。

 

このオフィスには後に、コールハースの教え子であり、後に成功を収めることになるザハ・ハディドも加わっています。

 

初期のプロジェクトでは、パリのヴィレット公園(1982年)、アイルランド首相官邸(1979年)、ロッテルダムのクンストハル(1992年)など、高い評価を得ていました。

 
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コールハースの著書『錯乱のニューヨーク』、彼のキャリアに大きな影響を与えました。

 

コールハースは都市生活の「偶然性」を分析し、「都市は中毒性のある機械であり、そこから逃れることはできない」と述べています。

 

コールハース自身も認めているように、このようなアプローチは、1960年代から1970年代初頭にかけての日本のメタボリズム運動にすでに見られたものでした。

 

20世紀のモダニズムの台頭とともに、「プログラム」は建築デザインの重要なテーマとなりました。

 

20世紀初頭に建築家ルイス・サリバンが広めた「形態は機能に従う」という格言に象徴されるように、「機能や人間の活動を編集する行為」が建築デザインであるとするのがプログラムの概念です。

 

この考え方は、『錯乱のニューヨーク』の中で、マンハッタンの高層建築の分析するに際して注目されました。

 

このような考え方から生まれた初期のデザイン手法が「クロスプログラミング」であり、高層ビルのランニングトラックのように、部屋のプログラムに常識を覆すような構造物を導入するものでした。

 

◯コールハースの代表作

中国中央テレビ局・本部ビル

 
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OMAのプロジェクトの中で、最も費用がかかり、最も有名なものは、中国・北京にある巨大な中国中央テレビ局の本部ビルです。

 

コールハースは設計において、このような政府系企業の象徴やランドマークとしてよく用いられるステレオタイプの超高層ビルを選択せず、「水平型超高層ビル」の特許を米国で取得しました。

 

北京市民の間で「大きなズボン」と呼ばれているこのビルは、「プログラム」の整理を突き詰めた末に、

 

高さ約230m・51階建の超高層ビルが頂部で連結されるという、高層建築の新たなタイポロジーが着想されました。

 

施工前には入念な構造実験が行われ、その類例のないデザインは中国国内においても、未だに賛否両論を巻き起こしています。

 

まさに想像と構造の限界を超えた問題作です。

 

ダラヴァ邸

 
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パリ郊外の個人住宅です。

 

1階のピロティや水平連続窓など、ル・コルビュジエのサヴォア邸を想起させる要素が多数含まれています。

 

一方で、 ピロティの柱はランダムに傾けられていたり、コンクリートや鉄、石、ネットといったさまざまな材料がコラージュ的に使用されていたりと、

 

モダニズムの純粋性からはかけ離れた状態で全体が構成されています。

 

シアトル中央図書館

 
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約150万冊の書籍やその他の資料を収容することができる巨大な図書館です。

 

ガラスの外壁の周りに大きなスチールのネットで包まれているような、ユニークで印象的な外観をしています。

 

外観上、珍しい形をしていますが、必要な機能に応じて建物の形態を決めるというスタンスが貫かれています。

 

マコーミック・トリビューン・キャンパス・センター(MTCC)

 
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アメリカのイリノイ工科大学のメインキャンパスであり、コールハースが同国内で設計した最初の建物です。

 

この場所は以前、学生が多く利用する駐車場で、頭上を電車が通っていました。

 

コールハースは、駐車場を横切る学生の動きを追跡した結果、斜めに伸びる通路を高架下に通しました。

 

この通路間には、書店や郵便局など、それまでキャンパス内に分散していた機能が移設されています。

 

設計上の大きな課題は、電車走行時の騒音でした。

 

解決策として、160mにわたるレール部分をステンレス製のチューブで囲うことでした。

 

チューブの支持構造はビルとは完全に独立しており、ビル間を通過する振動を最小限に抑えることができます。

 

以上、大禅ビル(福岡市 舞鶴 賃貸オフィス)からでした。

 


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