デザイナーたちの物語 ピーター・ズントー

弊社、大禅ビルが行っております貸しビル業は、本質的には空間に付加価値をつけていくプロデュース業だと考えています。

 

そのような仕事をさせて頂いている身ですから、建築やインテリア、ファッションといったデザイン全般にアンテナを張っており、

 

そこで得たヒントやインスピレーションを大禅ビルの空間づくりに活かすこともあります。

 

とは言え、私は専門的にデザイナーとしての教育を受けたことはありませんから、本職の方々と到底比べられません。

 

本物のデザイナーというのは、既存の概念を超越するような美を生み出すアーティストに近い存在と言ってよく、その足跡の後には全く新しい地平が拓けていくものだと思っています。

 

◯風土を伝える世界的な建築家

今回ご紹介するのはピーター・ズントー。

 
ズントー
 

スイス・バーゼル生まれの建築家です。

 

彼の作品は場所の特徴を重視する「リージョナリズム(地域主義)」に位置づけられています。

 

彼の作品は、スイス建築によく見られるミニマリズムの特徴を有しながらも、空間の静濫さから深い思索や詩的な感情を喚起させる、極めて独特な世界観を構築しています。

 

2009年にはプリツカー賞を受賞し、世界的な建築家としての立場を確固たるものにしました。

 

ズントーは、家具職人の父のもとで家具製作の修行を行った後、バーゼルの工芸学校とニューヨークのプラット・インスティチュートで建築とインダストリアルデザインを学びました。

 

その後、歴史的建造物の修復の仕事に携わり、1979年に自身のアトリエを設立。

 

こうした経歴は、建築を構成する素材と風土 (場所性)の関係を重視するズントーのスタイルに大きく関わっているといえます。

 

例えば初期の代表作である聖べネディクト教会の外壁では、天窓の下に地域で伐採された木材による小さな板がうろこ状に重ねられ、小さな村の中に漂着した船のようなたたずまいを見せています。

 

このように、建築が建つ場所固有の物質文化・空気感と、建築そのものが響き合うことで、そこにしかない建築のあり方を求めるズントーの作品独特の詩的な世界が現れます。

 

◯修復家からスタートしたキャリア

ズントーは父親が家具職人だったこともあり、幼い頃からデザインに親しみ、1958年に大工に弟子入りし、1963年からは地元の美術工芸学校で学びました。

 

1966年、ニューヨークのプラット・インスティテュートに交換留学し、工業デザインと建築を学びます。

 

1968年、グラウビュンデン州の記念物保存局の保存建築家となります。

 

歴史的建造物な修復プロジェクトに携わることで、建築やさまざまな建材について理解を深めたそうです。

 

それによってズントーは、素材を触ることで得られる経験や感覚を、後に彼が手掛けるモダニズム建築に取り入れることができるようになりました。

 

彼の建物は、ミニマリズムの感覚を保ちながら、空間や素材の触覚的、感覚的な質を追求しています。

 

ズントーは1979年に自身の事務所を設立。事務所は急速に成長し、国際的なプロジェクトを数多く手がけるようになりました。

 

1988年に南カリフォルニア大学建築学部とSCI-ARC(ロサンゼルス)、1989年にミュンヘン工科大学、1992年にチューレン大学、1999年にハーバード大学デザイン大学院で教鞭を執ります。

 

代表的なプロジェクトとしては、

 

オーストリアのボーデン湖を見下ろすガラスとコンクリートのキューブがきらめくブレゲンツ美術館

 

スイスのヴァルスにある洞窟のような温泉施設

 

2000年のハノーバー万博のためのスイス館(イベント終了後にリサイクルされることを目的とした総木工構造)

 

ケルンのコルンバ教区博物館、ヴァッヘンドルフ近郊の農場にあるブルーダー・クラウス・フィールド・チャペルなどが挙げられます。

 

現在ズントーは、スイスで約30人の従業員を抱える小さなスタジオで仕事をしています。

 

◯代表作

聖ベネディクト教会

 
ズントー
 

村の中に漂着した方舟のような外観を呈するスイス・スンヴィッツ村の教会。

 

周辺で伐採された木材が用いられ、楕円状の平面のもと、方舟のようなフォルムをとっています。

 

外壁は木の小さな板がうろこ状に重ねて張られ、内部はステンレスの仕上げ材の上に、木のフレームが露出しています。

 

内部空間には天窓から光が注ぎ、静謡な空気が醸成されています。

 

テルメ・ヴァルス

 
ズントー
 

洞窟のような雰囲気を醸すヴァルス村にある温泉施設です。

 

地元で採掘された石材が全面的に用いられています。

 

内部空間は、小部屋が連続する洞窟のような雰囲気をもち、天井のスリットから注ぎ込まれる光が水面に反射し、幻想的な場を創出しています。

 

ズントーは、風土と素材の関係を重視しました。

 

これは、彼が人間の「住む」という行為を、風景や大地と結びついたものとして捉えているマインドからきています。

 

そこには、哲学者マルティン・ハイデガーの思想の影響も見られるという。

 

クンストハウス・ブレゲンツ

 
ズントー
 

オーストリアのフォアアールベルク州の州都ブレゲンツに立つ現代アートギャラリーです。

 

1990年から1997年にかけて建設されました。

 

世界的に有名な現代アートギャラリーの一つであり、建築ミニマリズムの好例でもあります。

 

堂々とした外観と揺るぎない空間コンセプトが特徴的なこの建物は「アートのための場所であり、

 

人々が穏やかにアートと出会う場所である」というアートギャラリーが持つべき最大の機能を目指して設計されました。

 

ファサードは712枚の細かくエッチングされた同一大きさのガラスパネルで構成されており、1枚あたりの重量は約250kg、スチールフレームに固定されています。

 

これらのパネルは光の拡散性のあるテクスチャを形成しており、太陽光を屈折させ、展示ホールの明るい天井に導く役割を果たしています。

 

コルンバ

 
ズントー
 

ドイツ・ケルンにあるケルンで最も歴史ある美術館の一つです。

 

1853年にキリスト教美術協会によって設立され、1989年にケルン大司教区に引き継がれています。

 

ズントーは2003年から2007年にかけて建設された新館の設計を担当しました。

 

この場所にはもともとロマネスク様式の聖コルンバ教会がありましたが,第二次世界大戦で破壊され,1950年に「廃墟の聖母」と呼ばれるゴットフリート・ベームの礼拝堂に建て替えられました。

 

ペーター・ズントーが美術館のために開発した新しい構造は、穴の開いた灰色のレンガのファサードが美術館と古い教会の両方をマントのように包見込むようなものでした。

 

16ある展示室は、日差しの入り方、大きさ、プロポーション、通路など、さまざまな性質を持っています。

 

ヴェルクラウム工芸会館

 
ズントー
 

オーストリアにあるブレゲンツの森の職人と商人の協同協会の建物です。

 

多目的ホールとしての役割に加え、ブレゲンツの森のクラフト文化を発信するショップも併設されています。

 

シックな黒い屋根と、ガラス張りの外壁の組み合わせた落ち着いたモダン感を醸し出しています。

 

以上、大禅ビル(福岡市 舞鶴 賃貸オフィス)からでした。

 


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