株式会社ザイマックス不動産総合研究所様にご取材頂きました!①
不動産シンクタンク・株式会社ザイマックス不動産総合研究所の鎌田様がご来社され、
近年大禅ビル(福岡市 舞鶴 賃貸オフィス)のハード面、ソフト面での取り組みについて弊社社長をご取材されました。
■賃料と入居年数
鎌田様:
この度は「ビルオーナー実態調査」の継続研究にご協力頂きありがとうございます。
前回に引き続き2回目のヒアリングとなりますが、御社のハード面、ソフト面それぞれでのお取り組み、ならびにその効果について、もう少し詳しく伺えればと存じます。
どうぞ宜しくお願い致します。
禅院:
宜しくお願い致します。
鎌田様:
早速ですが、御社の家賃設定についてご教示ください。
禅院:
おおよそですが、新しいテナント様には8,000円、共益費は同じです。なお一階の部屋の賃料は少々高く1万円ほどになります。
既存のテナント様の家賃は上げません。ただ弊社は
「時間と使用の積み重ね」
を価値としてブランディングしていく戦略ですので、部屋が空く度に少しずつ賃料を上げて設定しております。
鎌田様:
賃料は相場からみて安い方でしょうか?
禅院:
ビルのグレードによりますね。この近辺ですと、例えば赤坂は1万円ほどで、
舞鶴だと少し安いので、オフィスビルの中では妥当な相場なのではないでしょうか。
鎌田様:
稼働率とテナント様の入居年数はいかがでしょうか。
禅院:
今はだいたい9割6分の稼働率です。
私が入社した2014年当初は7割いかないくらいでしたが、そこからかなりテコ入れして改善していきましたね。
テナント様の入居年数は色々ですね。
長くいらっしゃる方は数十年、中には祖父の代から40年以上もご入居されている方もいます。
一方、最近では工事の現場事務所として借りられる法人様もいらっしゃいます。その場合だと2~3年です。
鎌田様:
ここ何年か赤坂、舞鶴周辺で新築工事も増えていますよね。貸しビルとして短期間の賃借はどのようにお考えでしょうか。
禅院:
付加価値の高い仕事空間を提供するのが弊社の仕事ですので、期間の長短に関わらず借りて頂けるお客様は有り難い存在ですし、ウェルカムです。
ただ、短期間利用の場合、基本的に価格交渉なしでご対応させて頂いています。
■ハード面での取り組み
鎌田様:
続いてハード面について伺わせてください。
御社はレトロビルと打ち出されているように、歴史の古さをブランドの軸に据えておりますが、
建築物としてのビル自体は使えば使うほどどうしても古くなっていってしまいます。
メンテナンスはどのような取り組みをされましたか?
禅院:
まず設備のリニューアルを数年かけて行いました。
例えば各階のお手洗いの全ウォシュレットの交換、階段の手すりや段差を緩やかにする工事、蛍光灯、空調機、受信盤、変圧器などですね。
中でも最もコストがかかったのは正面玄関の改装です。
改装前の弊社の正面玄関は、控え目に言っても薄暗く、特に夜になるとほぼ真っ暗でした。
見る人によってはいかにも怪しげ雑居ビルの雰囲気が出て、あまりいい印象を与えなかったのではないかと思います。
ですから正面玄関の改装はずっとやりたかったことで、やっと去年諸々の条件がまとまり、着手できるようになりました。
鎌田様:
悲願だったわけですね。評判はいかがでしたか?
禅院:
大変好評を頂いています。むしろ一番喜ばれたのかもしれませんね。
照明はLEDに取り替え、壁タイルも高級感があって、かつ大禅ビルの雰囲気に馴染むようなデザインを選びました。
玄関がパアッと明るくなっただけでこうも変わるのかと私自身が驚きました。
なにせ玄関はビルの顔ですからね。人の第一印象を左右します。
鎌田様:
テナント様にとっても、きれいなオフィスビルならばより気持ちよく仕事したり、お客様を呼んだりできますからね。
■目玉のIKEAスタイル貸会議室
鎌田様:
去年から貸会議室もオープンされましたね。拝見しましたが、貸会議室と思えないほどお洒落でした。
禅院:
ありがとうございます。
もともとイケアスタイルのショールームとして仕立てた502号室を、昨年正式に貸会議室へとシフトさせました。
シェアリングエコノミーの分野で多くの先進的な取り組みをされている株式会社クルトン様のご縁を頂き、運営委託をお願いしております。
おかげさまで稼働率はほぼ100%、予約は毎日のように入っています。
鎌田様:
素晴らしいですね。入居者様が使われるのですか?
禅院:
いいえ、利用者は殆どが外部の方です。むしろ、外部の方に大禅ビルを知って頂くための
「広告装置」
として貸会議室を捉えています。
内装が洒落ている、対応もいい、なのに安い!沢山の方に大禅ビルに知って頂き、来て頂き、使って頂く仕掛けとしての貸会議室です。
目玉商品をノベルティで配布して話題性と知名度を作っているようなものですね。
舞鶴に大禅ビルという建物があるんだ、とか。
外観はレトロだけど中はピカピカというギャップが面白いね、とか。
覚えて頂ければ本業の貸しオフィスにもプラスに働くと思います。
あと、個人的な感覚なのですが、人が沢山いる活気のあるビルにはよくお客様がつく傾向にありますね。
大禅ビルの賑わいづくりも目的の一つになります。
鎌田様:
なるほど。収益を狙った取り組みではないんですね。
平日の利用料金が1時間500円というのも、かなりの話題性だと思います。
禅院:
オフィス街という場所柄、そこそこ高い料金でも借りてくれる方は現れるでしょう。でもどうせなら広告宣伝に全部振ってしまおうと。
口コミ拡散と回転率づくりに目的を絞った結果、びっくりするくらいの低料金に設定した次第です。
この貸会議室で大禅ビルの名前は確実に広まったと思いますね。
鎌田様:
利用者も増えてくると、対応業務も大変なのではないですか?
禅院:
宣伝や決済といったロジ業務はクルトン様にお願いしております。
ですから弊社での業務は接客が中心になります。実はこれも狙いの一つです。
私は常々、貸しオフィス業は人様を相手にする「接客業」だと考えています。
そして接客のレベルは、どれだけお客様と接した経験を積めるかにかかっています。
弊社のテナント様の多くは長年ご入居頂いております。
それ自体大変有り難いことですが、無意識のうちにテナント様のご厚意に甘えてしまい、接客を磨くのに必須な「緊張感」が緩くなってしまう恐れがありました。
ホテル並の接客を目指したい。
ではホテルはなぜ接客レベルが高いのか?
それは常に新しいお客様におもてなししなくてはならないというフレッシュな「緊張感」に晒されているからです。その環境を自ら創り出す必要を感じていました。
大禅ビルが貸会議室を持つことで、毎日のように新しいお客様がやって来られます。
彼らと接する緊張感が、私と社員の接客力をより一層鍛えてくれるのです。私たちにとってまさに「接客の道場」と言えるかもしれません。
鎌田様:
上手く行っている時だからこそ、自分たちが提供すべき価値の軸を見失わずに鍛えていくのが大事かもしれませんね。
禅院:
そうですね。貸会議室が運用されれば、大禅ビルに出入りするお客様は必然的に増え活気生まれます。
知名度が広がると同時に、私たちの接客力も鍛えられます。
そして大禅ビルの名前と接客を覚えて頂ければ、それが巡りに巡って将来的にテナント様になって頂けるかもしれない。
といった風に、いくつかの要素をリンクさせながら貸会議室を軸としてブランディングを組み立てた次第です。(つづく)